出版社/著者からの内容紹介
信頼、裏切り、屈辱の13年間。元所属事務所社長が満身の想いを込めて明らかにする、女優・川島なお美の隠されたプロフィール。なお美との13年間の真実が今ここに!
抄録(「電子書店パピレス」より)
「あなた、知ってる? なお美の財布がないらしいんだけど。俺は、いま食事に行くときにこの場所を離れただけで、誰もこのバスには入り込んでこなかったよな?」
こう聞くと、運転手も、
「いや、私は知りませんよ。誰も入って来たとは思えませんけど」
何となく的を射ない。盗難があったというのに、ロケバスの中は何も荒らされておらず、まるで彼女の所持品が最初からそこにあったことを知っていたかのようだ。こんな場合、ほかのスタッフの荷物も荒らされていて当然なのに、まったくほかは何ひとつ乱れていないのも不思議でならなかった。何かにつけてカンのするどい私も現場の状況を見て、刑事にでもなったかのように推理もした。疑う気持ちもあったが、証拠があるわけではない。
その日の撮影は早めに切り上げた。
「じゃあ、今日はどうもお疲れさん。明日みんながんばりましょうよ」
盗難事件があったことで、急になお美の撮影に対する入れ込みが薄れたとカメラマンはとっさに判断したようだ。早めの解散になった。
ホテルに戻る。
私が部屋に入ると、なお美も続いて入ってきた。
部屋に入ったとたん、ベッドに飛び込むと、まるで溺れかけた少女がプールの中で両手足をバタバタしているような仕種になった。
「三上さん、どうしてくれるのよ。私、信じられない。私の大事なものがなくなっちゃった」
あまりにとり乱したその姿を見た私は現場を仕切るマネージャーとして、そしてタレントを管理する所属事務所の社長として、気持ちの上では納得しないものの、
「なお美、悪かった。本当に俺が悪かった」
こう言わざるを得なかった。それでもなお美の気持ちがおさまらず激怒し、信じられないことを口走った。これら貴重品を私に預けることもせず、私に「なくなったのは三上さんのせいだから弁償してくれ」と大変な剣幕なのである。
「健夫さんにプレゼントしてもらった時計がなくなっちゃったなんて、私、彼に何と言えばいいのよ。いちばん大事なものがなくなっちゃったのよ。ああ、私は信じられない。三上さん、どうしてくれるのよ」
「健夫さん」とは、当時、川島なお美がつき合っていたプロゴルファー、ジャンボ軍団・尾崎三兄弟の次男、健夫のことである。
しかし、健夫からプレゼントされた時計を弁償しろというのは、どういう神経かと、なお美の人間性をあらためて疑う思いだった。ちなみに、尾崎がなお美にプレゼントしたシャネルの時計は、当時で百二十万円もするものだった。しかし、怒っている。その姿を見ていると、明日の撮影など平穏に進みそうにない。
売り言葉に買い言葉で、
「わかった。時計は俺が弁償するよ。同じものを買えばいいんだろ。そうすりゃ文句ないんだろ。日本に帰ってから弁償するから」
私のその言葉を聞くと、なお美が激しく動かしていた両手足がピタリと止まった。
「たしか現金は、成田で五万円ほどをドルに替え、残りは五万円くらいしかなかったよな。それもすべて、俺が支払う。時計は、俺が約束通りちゃんと買うからさ」
そう言うと迅速に、
「なお美の持っていたカードが何者かに悪用されるおそれがある。とりあえず名古屋のお母さんに電話して、このカードをストップするようにしなさい」
名古屋の実家に電話させ、両親に、盗まれたカードの処置も依頼することができた。その場はどうにかおさまったように見えた。
しかし、なお美は、目をカッと見開くと、怒り心頭といった顔で私を見据え、
「私ね、こんな感じじゃ仕事にのれないわ。三上さんに私の前で土下座でもしてもらわなきゃ。気分悪くて仕事なんかできないんだから」
著者について
三上 喬弘(みかみ たかひろ)
1946年(昭和21年)福井県福井市生まれ。大学卒業後、芸能界にて女性アイドル・タレントのマネジャーに従事(五十嵐じゅん、麻丘めぐみ、三田悠子、秋ひとみ)し、川島なお美を擁して独立。その後のことは本書にて叙述。
第1章 この本を書いた理由
「私の前で土下座して!」
残った借金は二千万円
第2章 なお美との出会い――グラビア・DJ・時代劇
青山学院大学英文科二部合格
荒れた肌のグラビアガール
「ミスDJ」とカンニング
脱がないグラビアの女王
時代劇に進出、瀕死(ひんし)の重傷
第3章 なお美をとりまく男たち
コンドーム二枚重ねのセックス
許せない、MASAYA
恋こがれた世良公則
ミュージシャン・杉真理(まさみち)との純愛
高校三年生で……
尾崎健夫との熱愛
レーサーとの不倫
ハワイでの悦楽
欲望おもむくままの男選び
第4章 なお美に関するプロモーション
第5章 反抗から移籍へ
『オフィス・羽田野』へ移籍
第6章 私のマネージャー歴
あとがきにかえて