出版社/著者からの内容紹介
“七不思議”として学校で語り継がれる恐ろしい話の数々。でもそれは、ただの噂や作り話ではなかった……。実際に起こった恐怖体験に、あなたの震えはとまらない!
抄録(「電子書店パピレス」より)
転校生に取り憑く霊
いまからもう一三年も前、私が卒業した中学校で一大事がありました。
転校してきたばかりの美咲《みさき》さん(仮名)が、授業中に突然机に顔を伏《ふ》せて動かなくなったのです。異変に気づいた数学の先生が、「保健室にいくか?」と聞くと、美咲さんは、「いきたくない」と顔も上げずに答えました。
そして、数学の授業が終わると気が抜けたようにボーッとして、つぎの授業を受けずに、そのまま家に帰ってしまったのです。つぎの日もそのつぎの日も、美咲さんは授業中に同じような状態におちいり、具合が悪いといって早退しました。
そのあと、彼女は一週間学校にきませんでした。クラスメイトは、「風邪《かぜ》か何かこじらせたのだろう」と話していましたが、じつは、彼女の家では大変なことが起きていたのです。
一週間後、美咲さんは首から大きなお守りをぶら下げて登校してきました。顔は青白く、ほおがこけてげっそりしています。
事情を聞くと、彼女はこんな話をしてくれました。
「最初、机の横から女の子の声がしたの。『授業なんてつまんないから遊びにいこうよ』って。でも、両隣は男の子でしょ。うしろを振り向いて、小川さん(仮名)に聞いたら、『何もいってない』って。
そしたら今度は、前のほうからまた女の子の声が聞こえてきたの。だんだん怖くなって机に伏せたら、机と足のあいだからその子の顔が見えてきて、『遊びにいこうよ、屋上にいこうよ』って何度も誘《さそ》ってきたの」
それが三日もつづき、ついには家にまでついてきて、彼女の部屋でものをポンポン投げては、同じことを何度もいったそうです。
両親に話しても、最初は信じてもらえなかったようです。そのうち、ただごとではないことが起こり(このことは話してくれませんでしたが)、両親に連れられてお祓《はら》いにいったそうです。
その後、美咲さんはふつうの状態にもどり、この事件も解決したかに見えたのですが、残念ながら、そううまくはいきませんでした。
一か月後に転校してきた女子生徒にも、その女の子が取りついてしまい、美咲さんと同じ場所でお祓いを受けるはめになってしまったのです。
話がけっこう大きくなりすぎたので、担任の先生も、私たちに本当のことを打ち明けてくれました。
「じつは、昔、いじめを苦にした転校生の女子生徒が、屋上から飛び降り自殺をしたことがあった……」
その後は転校生もなく、二人の転校生に取りついた女の子も、あらわれることはありませんでした。しかし、この事件は長いこと語り継がれ、学校中のうわさになったそうです。その土地を離れて、もう一〇年以上もたっていますが、いまはどうなっているのか、ときどき気になることがあります。
著者について
山岸和彦と恐怖委員会編
日本列島の北から南まで、その土地に残された怪談、伝説、民話、昔話などを収集・整理し、世に発表している。山岸和彦は1965年、静岡県生まれ。集まった情報をもとに、心霊とオカルト文化史、はては民俗学に至るまでの幅広い研究を続けている。1996年9月に編者が開設したホームページ『怪異・日本の七不思議』は、これまでに160万ヒット、1400を超える体験談が全国から寄せられている。なお同ホームページでは、怪異譚を随時募集している。http://www.orange.ne.jp/~kibita/jp7/index.html