出版社/著者からの内容紹介
日本の企業社会は狂気の沙汰!
粉飾発覚から企業崩壊まで取締役スケープゴート氏は何を見たか……!
都市銀行をある事件の犠牲になって退職し、中堅の専門商社カンパニー社に途中入社した主人公のスケープゴート氏が体験する粉飾発覚から倒産に至るビジネス・ストーリー。悲劇のスケープゴート氏の奮闘もむなしく破綻するカンパニー社。その体験を通して、企業の中での人間復権を訴える。
抄録(「電子書店パピレス」より)
ゴルフ後のパーティーでもS氏は風呂にも入れずにてんてこ舞いだった。アルコール、料理の手配、成績の集計、賞品の取りそろえ、等々。
前回優勝者とともに幹事役をやるのだが、幹事の役割とはそういうもので、皆が風呂からでてきて、「とりあえずビール」
などと言って乾杯し、誰が優勝だ、準優勝だとわいわい騒いでいるのを横目にして成績表を配ったり、社長に酒をついでやったりするのが幹事の役割である。
S氏もそれはよく承知しているのだが、毎回S氏が幹事をやらなければならないことに合点がいかなかった。この種の雑役は誰かがしなければならない。そうだとしたら、当番制でやるのが公平というものだ。
取締役に任命しているS氏に敢えて他の社員へのサービスの雑役をいつもいつもやらせることは、オーナー社長の偉大な力を誇示するためにS氏の自尊心を犠牲にしていると見ることもできた。
ここでもS氏は一種のスケープゴートだった。あるいは外来者に対する単なる大人のイジメなのかも知れなかった。
著者について
菊田 良治(きくた りょうじ)
1938年生まれ。61年一橋大学経済学部卒業後、大手都市銀行入行。地方支店支店長などを経て、89年退社。同年非鉄専門商社に入社して財務担当役員などを歴任。97年同社破産。現在翻訳業。中小企業診断士。