出版社/著者からの内容紹介
管理職として必要不可欠なのが『指導力』。部下に仕事のやりがいや楽しさ・厳しさを教え、一人前のビジネスマンに育て上げる――この困難な仕事を成し遂げるには、まず自らの能力・感性を再開発しましょう。
数多くのビジネスマンを導いてきた著者がおくる、必要とされる人材となるための50の鉄則!
抄録(「電子書店パピレス」より)
3 叱り方の基本的なTPO
では、実際にそのようなとき、どのように叱るべきか、TPOを考えてみましょう。
まず、叱る際の原則を示します。
(1)その場で叱る
その場で叱るのは、叱る原則です。できるだけカラッとクールに、感情的にならないように注意して下さい。
(2)仕事本位に叱る
仕事上のミスやウッカリ、心得違いを、あまり感情的にならないように叱ります。人によっては、なかなか叱ることができずに、積もり積もった怒りを、爆発させることがありますが、これは最悪です。たとえば書類上のミスを何度も犯している部下に対して、
「おい、ここ違ってるぞ。いつも君はこれを間違えてる。こんな同じミスを何回もやるなんて、バカじゃないか。そういえば、先週も一番忙しい時に休暇をとってスキーに行ってしまうし、一体君はやる気があるのか」
と、いうような叱り方をしている上司を、ときどき見かけます。
この叱り方は、どこが原則に反していますか、考えてみて下さい。まず、
「いつも間違えている」
と言っていますが、叱られている本人は、注意されたのが今日初めてだとしたら、こんなに心外なことはありません。
現にこういう叱り方をされて、部下から、
「なぜ、これまでに注意してくれなかったのですか」
と、上司のほうが食ってかかられるのを、見たことがあります。
「バカじゃないか」
というのは、明らかに本人の人格を傷つけています。
「仕事の出来栄えを叱るのであって、本人の人格まで傷つけてはならない」
これが鉄則です。
「先週、忙しい時にスキーに行った」
のは、今叱っていることとは関係ないプライベートな問題です。そんなことまで蒸し返して叱るのはよくありません。休暇を無断でとったなら、そのことを直後に叱るべきであって、書類上の間違いを叱るとき、「ついでに叱る」のは、もっともまずい叱り方というべきでしょう。そのあげくに、
「やる気があるのか」
と、言われたのでは、立つ瀬がありません。
(3)本人にわかるように叱る
上司のほうが感情的になり、しかも叱っている間に、ますますエスカレートして、我を忘れてしまう――こんな叱り方では、部下は、
「一体なぜ自分が叱られているかわからない。でもとにかく、おやじ(上司)がうるさいからこの際おとなしくしておこう」
としか受け取れません。こんなふうに考えられたら、叱っている意味はなくなり、効果もまったく期待できません。これではお互いに時間の無駄であるばかりか心が傷つくだけですので、
「やらない方がまし」
ということになります。叱るときは、本人がなぜ叱られたか、どこがいけなかったか、どう直せばよいのかが、「わかるように叱りたい」ものです。
(4)緊急の場合は「処置」が最優先
叱るときは、本人がなぜ叱られたか、どこがいけなかったか、どう直せばよいのかが、わかるように叱るのが原則ですが、緊急の場合は「処置」が最優先です。
「早く火を消せ」
が最優先で、なぜ、などの説明は、後回しでよいのは、おわかりでしょう。モタモタしているうちに、火が回って大火になったのでは、元も子もないですからね。
著者について
国司 義彦(くにし よしひこ)
学習院大学卒。日産自動車株式会社を経て、株式会社JMC能力開発センターを設立、代表取締役。
経営者、管理者、営業社員の指導・教育に活躍する一方、早くから「心の豊かさ」「自己実現」を提唱し、『マズローの心理学』(産能大学出版部刊)の著者F・ゴーブルらと、研究・啓蒙活動を展開。
日本における人間性心理学のパイオニアとして全米にも広く紹介されている。
脱・経済優先社会への処方箋『苦悩と混迷を超えて』(F・ゴーブル著 泉文堂刊)の監訳者でもある。
公式ホームページ http://www.kunishi.gr.jp/