出版社/著者からの内容紹介
10年以上も前から、各企業とも“CS(顧客第一主義)”という考え方を企業経営の中に取り入れ、行動してきた。しかし、実際に実践できているのか、本当にお客様に満足を与えられているのかは疑問である。本書では、いかに意識を変え、どのような姿勢で、いかなる行動を起こすか、の具体例を盛り込み、全社全員で真のCSを実現し、売上利益増という最終目標を達成するためのアドバイスをする。
抄録(「電子書店パピレス」より)
1 CS経営からPS戦略へ
経済界全体がいま、非常に厳しい波にさらされている。こうした中では経済・経営を抜本的に改革していかなければならない。この「改革」とは制度や取り決め事を改め、刷新することである。各企業とも業界シェアを大きく落としている現在、まさに抜本的な改革をしなければ生き残れない時代になっているといえよう。それでは、どこから手をつけていけばよいのだろうか。市場のパイが大きく縮み、各企業とも業界シェアを以前より小さくしている。これを元に戻し、あるいは拡大していこうとすれば、同業他社を食うしかない。弱肉強食のサバイバル競争の時代である。
こうした「物品デフレ」の時代、厳しい状況下でも売上高や利益を着実に伸ばしている企業もある。
こうした企業は、具体的にどんな手を打っているのか。端的にいえば、お客さまのニーズや傾向などをきちんととらえ、それに合った商品を提供できる企業としての姿勢やシステムができている。
お客さまの満足度を向上させようと、一〇年以上前からどの企業もCS(カスタマーズ・サティスファクション)という考え方を企業経営の中に取り入れ、行動してきた。だが、これからはCS経営ではなく、PS(パーソナル・サティスファクション)戦略をやらなければ時代から取り残される。
CSが不特定多数のお客さまのニーズや傾向、動向を見ながら対応するものであるのに対して、PSは一人ひとりのお客さまのニーズや傾向、指向、要望などをきちんととらえ、対応していくことである。
すなわち、CSの「‘顧’客第一主義」に対して、PSは「‘個’客第一主義」あるいは「‘固’客創造主義」といってよい。まず、お客さまとは何かをしっかり認識していただきたい。
そのうえで、お客さまのニーズや傾向などをこれまで以上にきめ細かく、きちんととらえ、それに合った商品やサービスを提供する姿勢を持つことが大切である。その努力と行動の積み重ねによって、最終的に「個客満足」を満たしていくことである。これは、第一線でお客さまと接している営業マンだけがやればよいのではない。
企業を構成している社員は、製造部門であれ間接部門であれ、すべてお客さまに顔を向けた仕事をすべき時代なのだ。CS経営からPS戦略を展開し、この逆境といわれる時をチャンスの時としてほしい。
2 「お客さま」の認識を統一せよ
経済情勢が厳しさを増す中で、従来の仕事の考え方、やり方ではすでに通用しなくなっている。まずは企業間の競争に打ち勝つよう、社員一人ひとりが意識を変革しなければならない。では、何を変えればいいのか。業績にすぐ結びつく「行動」である。その行動を起こすには仕事をどう考えているかという「意識」の問題を抜きに語れない。その意識を変えるために、常に次の五つの意識があることを心にとめておいていただきたい。それは、「顧客意識」「品質意識」「能率意識」「原価意識」「安全意識」である。ここでは「顧客意識」について触れ、「品質意識」以下については章を追って説明したい。
業務が円滑に流れるよう、自分以外の人に対して「お客さま」と思うことが大切であると前に述べた。お客さまとは、自社の商品を購入してくれる方、または自社の製品を使ってくださるユーザーだけがお客さまだと思い込んではいないだろうか。
原材料を納めてもらっている仕入業者や協力会社、さらには他部門・他部署の人、同僚・上司・部下といった自分以外はすべて「お客さま」だという位置づけで仕事をしなければならない。それが、最終的には一般にいわれる「お客さま」、つまり「顧客」の満足度を上げるのである。まずは「お客さま」という認識を全社的に統一していただきたい。そのうえで、「顧客」とは何かを考えてみよう。
企業に勤める社員は誰から給料をいただいているのか。「会社から」という答えも出るかもしれないが、この問いのもっと奥を考えなければいけない。会社は、お客さまがあってこそ機能しているのである。すべての仕事は、お客さまがあってはじめて成り立つなら、たとえば営業マンなら「自分の給料はいま目の前にいるお客さまからいただいているのだ」、社内スタッフなら「いま、電話をくださったお客さまからいただいているのだ」と認識すること。これが「顧客意識」である。企業活動の始まりとなる顧客という存在を再確認し、その顧客を満足させるために自分以外をすべて「お客さま」と考え、質の高い成果をアウトプットし、サービス提供する。この使命を一人ひとりの社員がしっかり持つことだ。
全社員が「お客さま」に対する認識を統一し、常にその思いを持って日々行動を起こせば、仕事内容もおのずと磨かれてくるはずである。
著者について
名倉 康裕(なぐら やすひろ)
(株)販売開発研究所取締役社長
現場中心の経営指導を展開し、マスタープランから経営戦略・戦術のアクションプランまで幅広いコンサルティングを数多く実践している。特に、真の問題点をあぶり出す鋭い洞察力には定評がある。販売戦略・社内充実強化策など柔軟な発想のもと、それぞれの企業体質にあったコンサルティング手腕は、高く評価されている。また、経験に裏づけされた実践ノウハウを提供する講演・セミナー・研修会や執筆などで精力的な活動を全国的に行なっている。特に講演や研修会では、コンサルティング経験からの事例を織りまぜた明確な見解とバイタリティー溢れる話法で人気があり、数多い依頼を受けている。これからのマネジメントに経営者から最も期待される実践コンサルタントである。
【著書】『顧客接点の行動基準』『ビジネス常識101のポイント』(以上、清話会出版)、『経営革新実践マニュアル』(PHP研究所)、『部下を持ったらすぐ読む本』(日刊工業新聞社)、『30代、部下を持ったらこれを読め!』『売れるセールス・売れないセールス』(以上、三笠書房)その他、連載多数